「最近、食べても疲れる」「胃が重くてやる気が出ない」「気持ちが沈みがち」
そんな状態が続いていませんか?
それは、単なる“食べすぎ”や“胃の不調”ではなく、エネルギーを生み出す力=脾(ひ)の弱りかもしれません。
東洋医学では、胃腸を中心とした「脾胃(ひい)」が、体と心のエネルギーの要とされています。
脾胃が整えば、体は温まり、気持ちは安定し、疲れにくくなります。
逆に、脾胃が乱れると、食べても栄養にならず、やる気や集中力までも低下してしまうのです。
今回は、東洋医学の視点で「胃腸を整える=エネルギーを取り戻す」ための食リカバリー術を、
現代栄養学の考えも交えながら詳しく解説していきます。
1. 東洋医学で見る「胃腸=脾胃(ひい)」の働き
① “食べたもの”を“エネルギー”に変える力
脾胃は、食べたものを「気」と「血」に変える大切な臓器です。
脾が“消化吸収”を、胃が“受け入れ”を担当しています。
つまり、脾胃が弱ると、いくら栄養のある食事をしても、
それをエネルギーに変換できず、次のような不調が現れます。
- 食後に眠くなる
- 体がだるい、冷える
- 顔色が悪い、肌が乾燥する
- 気分が落ち込みやすい
これらはすべて、“消化する力の低下=脾虚(ひきょ)”のサインです。
② 脾胃は「湿」に弱い
東洋医学で脾胃が苦手とするのは、「湿(しつ)」という余分な水分です。
冷たいもの、甘いもの、脂っこい食事、そしてストレスや睡眠不足も、
体内に“湿”を生み、消化吸収力を弱めます。
湿が溜まると、胃が重く、むくみやすくなり、頭もぼんやりします。
いわば「体の中にカビが生えたような状態」。
これを防ぐには、体の中を乾かし、温め、巡らせることが必要です。
2. 現代栄養学から見る「胃腸リカバリー」の重要性
① 腸は“第2の脳”
腸には約1億個もの神経細胞が存在し、自律神経やホルモンと密接に関係しています。
腸の状態が整うと、セロトニンなどの「幸せホルモン」の分泌が活発になり、
心の安定や睡眠の質の向上にもつながります。
逆に、腸内環境が乱れると、炎症が起きやすくなり、疲れ・不眠・不安感などが強まります。
② 胃腸は“リカバリーエンジン”
食べたものから栄養を吸収し、それをエネルギーに変えるのが胃腸の役割。
つまり、胃腸の働きが落ちると、いくら栄養を摂っても“燃料”が生まれません。
スポーツや仕事、育児、妊活など——どんな活動も、
まずは胃腸が整ってこそ「回復力」が発揮されるのです。
3. 東洋医学の「食リカバリー術」3ステップ
東洋医学では、“足りないものを足す”よりも、まず“滞りを流す”ことを重視します。
胃腸を整える3ステップは以下の通りです。
STEP 1:溜めない(排出)
まずは、体の中に溜まった「湿」を取り除くこと。
そのために大切なのは、温めて出すことです。
● おすすめの食材
- 生姜、ねぎ、にんにく:体を温めて水分代謝を促す
- はとむぎ、とうもろこし:利尿作用で“湿”を排出
- 緑豆(りょくとう):体の熱と老廃物を流す
● 控えたいもの
- 冷たい飲み物、甘いスイーツ、乳製品の摂りすぎ
- 夜遅い食事、食べすぎ
特に「冷たいジュース」「カフェラテ」「夜のアイス」は脾胃の大敵。
1週間控えるだけでも、胃の重さが変わってきます。
STEP 2:温める(整える)
胃腸の働きを取り戻すために欠かせないのが“温”の力。
冷たい食べ物ではなく、温かい汁物や蒸し料理を中心にします。
● 温め食リスト
- 白米・かぼちゃ・にんじん・大根・長ねぎ
- 味噌汁・お粥・具沢山スープ
- シナモンやクローブなどのスパイスも◎
「温かくて消化しやすい」ことが、脾胃の回復条件です。
朝は白湯、夜は温野菜やスープで“胃を休ませながら整える”のがコツ。
STEP 3:補う(養う)
最後に、エネルギーをつくる「気」と「血」を補います。
体が冷えやすい、顔色が悪い、集中力が続かない人は、
“補気(ほき)”と“補血(ほけつ)”を意識しましょう。
● 補気の食材
- 米、さつまいも、かぼちゃ、山芋、鶏むね肉
→ 体のエネルギー源をつくる
● 補血の食材
- 黒豆、レバー、ほうれん草、なつめ、クコの実
→ 血を増やし、肌や髪のツヤを回復
これらを“温める食材”と組み合わせると、より吸収力が高まります。
4. 胃腸を整える生活リズムの整え方
① 朝の「巡りスイッチ」
朝は消化器が目覚める時間帯。
白湯を一杯飲むことで、内臓の血流がゆるやかに上がります。
その後、軽いストレッチや深呼吸で気の巡りを促しましょう。
② 食後の「プチ休息」
食後すぐの作業やスマホ操作は、胃に負担をかけます。
10分だけ目を閉じて休むだけでも、消化の働きが上がります。
東洋医学では、これを「脾を養う間(ま)」と呼びます。
③ 夜の「整う食」
夜は“回復の時間”。
消化に優しい一汁一菜を意識し、寝る3時間前までに食事を終えるのが理想です。
温かいスープや雑炊で、体を“翌日に整えるモード”に切り替えましょう。
5. 胃腸が整うと、心も整う
東洋医学では、「脾は思を司る(おもうをつかさどる)」と言われています。
つまり、考えすぎ・心配しすぎは脾を弱め、脾が弱まるとまた考えすぎてしまう。
この悪循環を断ち切るには、体を整えることが先です。
胃腸が軽くなると、思考もシンプルに、感情も穏やかになります。
「なんとなく気持ちが落ちていたのは、胃腸の疲れだった」
そんなケースも少なくありません。
6. 実践!1週間の食リカバリープラン
| 曜日 | テーマ | 実践ポイント |
| 月曜 | 排出デー | 白湯+はとむぎ粥で“湿”を流す |
| 火曜 | 温めデー | 生姜味噌汁と蒸し野菜で代謝アップ |
| 水曜 | 軽食デー | スープとおにぎりで胃を休ませる |
| 木曜 | 補気デー | 山芋と鶏肉の煮込みでエネルギー補充 |
| 金曜 | 補血デー | 黒豆ごはんとほうれん草の胡麻和え |
| 土曜 | ゆる断食 | お粥と白湯だけで消化リセット |
| 日曜 | ご褒美デー | 心が喜ぶ温かい食卓でリラックス |
“完璧”よりも“整う感覚”を優先することがポイントです。
少しずつ体の反応を観察しながら、自分に合ったペースで続けましょう。
まとめ
- 胃腸(脾胃)は、体と心のエネルギーを生み出す中枢
- 「冷え・湿・食べすぎ」は脾胃を弱める三大要因
- 東洋医学の食リカバリーは、「溜めない→温める→補う」の3ステップ
- 温かく・優しく・リズムを意識した食事が、回復力を育てる
- 胃腸が整うと、感情も穏やかになり、行動も軽やかになる
終わりに
“食べる”ことは、“生きる”ことそのものです。
胃腸が整うと、ただ体が元気になるだけでなく、心にも光が戻ってきます。
鍼灸の世界では、「脾胃は後天の本(ほん)」と呼ばれ、
生まれた後の生命エネルギーを支える柱とされています。
皆さんも、食を通じて自分のリズムを取り戻し、
胃腸から整う“生きる力”を日々育てていきましょう。